【甜茶】花粉症に効果がある2つの理由とデメリットについて

2016年10月30日

7b9eb9551ab1e67783bfc61cba27a483_s花粉症の症状が続くと、夜なかなか寝付けなかったり、場合によっては集中力低下で仕事にも集中できなくなってしまったり。人によっては死活問題にすらなってしまう重要な問題ですよね。ただ、現在の花粉症治療を考えてみると、【治療】という言葉を使っているにも関わらず、薬を使って症状を抑えている方法しか病院では提案してくれません。

もちろん薬を使うことが悪いとは言いきれませんが、薬を使い続ける期間が長くなればなるほど、その効果は薄れていき、副作用も出てくる…というのが薬を使うことによる大きなデメリットでもあります。そうした中で、「どうにか薬以外で花粉症の症状を緩和できないか?」ということでサプリメントや健康食品、また健康茶などが色々なメーカーから販売されていますよね。

そうした商品は薬に比べると圧倒的に副作用が少ないのですが、実は落とし穴があります。「○○が花粉症に効いた!」「これを飲んだら花粉症が楽になった」など雑誌やテレビで特集される商品は山ほどありますが、実はその効果については根拠が非常に曖昧なものがとても多いんですね。

ただ、そんな中で甜茶は花粉症に効果があることが様々な角度からの研究結果によって既に裏付けがされているんです。この記事では、「なぜ甜茶が花粉症に効果があるのか?」について、その仕組みを説明していきます。

実はダイエット目的で研究されていた甜茶

なぜ甜茶が花粉症に効果があるのか?ということを知る前に、ぜひ知っておいて頂きたいお話があります。それは、甜茶が最初に注目されるようになった理由についてです。

今でこそ、花粉症やアレルギー性鼻炎といったアレルギーが原因の鼻炎症状に甜茶は効果があるというのは常識になりつつありますが、実は日本でこの甜茶が注目されるようになったのは、花粉症への効果からではないんです。

そもそも甜茶には天然の甘み成分が含まれているので、砂糖を入れずとも甘い味わいのお茶となっています。この天然の甘味料が「ダイエットに効果があるのではないか?」として多くの研究者から注目されたという背景があります。「甘い物は食べたいけども、カロリーが気になる…」という人向けに、この天然の甘味料(ルブソシド・ステビア)を食品に応用できないのか?として研究がなされました。

余談ではありますが、この研究は失敗に終わりました。というのも、この甘味料を食品に応用するとなると、費用面でかなり高額になってしまうため。いくらノンカロリーでダイエットに良くとも、あまりにも効果なノンカロリーチョコレートやノンカロリーケーキは、需要の部分を考えると実現するのは難しいと判断されたからなんですね。

ただ、この研究をしていく中で発見されたのが、甜茶が鼻アレルギーや花粉症の症状を軽減する効果があるということだったのです。

花粉症の症状にヒントがあった

甜茶はもともと中国で古くから飲まれていたお茶だったのですが、「風邪に効果がある」として薬として飲まれていました。実際、中国の薬草の効果について記された書物にも「甜茶には熱を下げる効果、咳を止める効果、痰を取り除く効果がある」と記されています。

ただ風邪に効果があるということであれば甜茶もそれほど注目を浴びることはなかったのですが、ここで研究者たちは【ある事】に気付いたのです。それは、「咳が出たり熱が出る症状は、風邪をひいた時だけじゃないじゃないか」ということです。

どういうことか?というと、花粉症に代表される鼻アレルギーの症状の時にも、熱が出たり咳が出たりという症状が出るということを逆の視点から考えてみたわけです。もしかしたらあなたも、最初に花粉症の症状が出た時には「風邪が長引いてるのかな?」と思った経験があるかもしれません。それほど、風邪の症状と花粉症の症状には近い部分があります。ここから、「甜茶は風邪だけでなく花粉症など鼻アレルギーにも効果があるのではないか?」という研究が始まりました。

炎症を抑える効果で花粉症を軽減する

甜茶が花粉症に効果があるかどうかの研究については様々な機関で行われていますが、特に注目すべきが【甜茶の抗炎症作用】です。私たちが花粉症で鼻がつまってしまったり、鼻水が出てきたり。これは鼻の粘膜が炎症を起こしていることが大きく影響しています。もちろん、花粉症でクシャミが出たり喉が痛くなるというのも、これは喉が炎症を起こしているため。

そして、甜茶にはこの炎症を抑える作用があることが確認されているんですね。どうやって炎症を抑えるのか?というと、まずは「なぜ炎症が起きるのか?」ということを知っておく必要がありますので、わかりやすくご説明させて頂きますね。

人間の体にはシクロオキシゲナーゼという酵素がもともと存在するのですが、これこそが炎症を起こす原因物質をつくる酵素。ということは、この酵素の量を減らすことができれば、必然的に炎症を抑えることもできるということになります。そして甜茶には、このシクロオキシゲナーゼという酵素を抑える性質があることが確認されているんですね。

どのくらい炎症を抑える作用があるのか?というと、例えば咳止めなどに昔から使われてきた金管(キンカン)やカリンといった植物。他にも、喉飴でおなじみのペパーミントと比べた場合でも、2倍~6倍もシクロオキシゲナーゼを抑える効果が実験で数値として確認されているんです。この実験結果からもわかるとおり、甜茶には炎症を抑えることで花粉症の鼻づまり・くしゃみといった症状を抑える効果があることがわかります。

さらに甜茶にはアレルギー症状を抑える効果も

甜茶には炎症を抑える効果があることはご説明させて頂きましたが、甜茶の効果はそれだけではないんですね。花粉症の代表的な症状と言えば、鼻づまり・目のかゆみ・くしゃみ。こういった症状となりますが、実はその全ての症状の原因は同じです。それは、花粉などアレルギーの原因物質(アレルゲン)が体の中に侵入すると、体内でアレルギー反応が起こり、ヒスタミンなどの化学物質を放出することによります。

この化学物質、特にヒスタミンこそが鼻づまり・くしゃみを直接的に引き起こす原因になっています。ということは、このヒスタミンの放出量を抑えることができれば花粉症の症状を軽減させることにもつながるというわけなんですね。そして、「甜茶が花粉症に効果がある」と言われる所以(ゆえん)はここにあります。

マスクをして花粉が体内に侵入するのを防いだりすることによって、結果的にヒスタミンの分泌量を減らすことは確かに可能です。ただ、どうしても限界があるんですね。それに対して、甜茶を飲むことによってヒスタミン放出量を抑制することができるという実験データが出ています。これはラットを使った実験結果で明らかにされた内容です。もちろん、人間の体内でも同じ現象が起きるので、甜茶を飲むことによってヒスタミン放出を防ぎ、結果として花粉症の症状を軽減させることが可能ということが確認されているんです。

甜茶のデメリットとは?

ここまでで甜茶が花粉症に効果がある理由をご紹介してきましたが、ここまで読むと「そんなに良いものなら、デメリットもあるんじゃないの?」と不安に思うかもしれないですね。実は甜茶にも大きなデメリットがあります。

それは、効果のない(もしくは薄い)甜茶も多く販売されているということです。甜茶の研究者の中では有名な話なのですが、実際、品質の悪い甜茶を原料に使っていたり、他のお茶を混合させて販売している商品というのも存在するんですね。

しかも、【甜茶】というのは【甘いお茶】の総称のことを指します。この甘いお茶すべてが花粉症に効果があるというわけではないので、注意が必要です。この記事でご紹介した、【花粉症に効果のある甜茶】というのはバラ科の甜茶のこと。バラ科以外にも、実は3種類の甜茶が存在するんですね。こうした甜茶には花粉症軽減などアレルギー症状の緩和の効果は残念ながら期待できませんので、慎重に選ぶ必要があります。ドラッグストアなどでも甜茶は販売されていますが、薬剤師もここまで詳しく甜茶について知っている人はごくわずかなので、【効果のない甜茶】を知らず知らずに飲んでしまっている人は非常に多いんですね。

まとめ

・炎症を抑える効果で花粉症を軽減できる
・ヒスタミンの分泌量を減らせるので花粉症に効果がある
・効果のない甜茶も多いので注意が必要

甜茶が花粉症に効果があるという理由は、大きく分けて2つ。炎症を抑えること、そしてヒスタミン(鼻づまりなどアレルギー反応の原因物質)の放出量を抑えるという作用があるためです。

ただし、確実に全ての人に絶大な効果を発揮するというものではないということを覚えておいてくださいね。薬でも同じですが、全ての人に等しく同じ効果が出るということは、どんなに効果の高いものでもありえません。人によって症状の重さは違いますし、体に合う・合わないということもあります。

その一方で、甜茶は薬とは違って副作用は一切ないという大きなメリットもありますので、まずは自分に合っているかどうか?を試してみるという気持ちで飲んでみるのが良いかもしれないですね。