スギ花粉症の原因と取り組みについて

日本国民の3割が悩まされているともいわれるほど、国民病ともいわれる花粉症。

日本で花粉症の患者が多い理由について調べてみました。

スギ花粉が多い理由

日本では花粉症の主原因は、スギの花粉だと言われています。

スギは育てやすく、成長が早く、建築資材としてのニーズが高いため、戦後、木材需要の高まりに応えるように、国が積極的な造林が進められてきました。

国内に1029万へクタールある人工林のうち、スギが4割以上を占めています。

そこでスギ花粉が多く飛散する春には、外出をためらう人も少なくありません。

国が進める杉花粉対策

あまりにも深刻化する花粉症に、国や行政も対策に取り組んでいます。

それが花粉量がゼロか微量の「花粉症対策杉(対策杉)」の研究開発です。

対策杉には、花粉を作る雄花がほとんどできない「少花粉型」や、雄花を付けるが花粉を全く作らない「無花粉型」などがあります。

一般的な杉と比べて、苗木の成長の早さ、材木の品質に差はありません。

国の研究機関である森林総合研究所(森林総研)で開発された無花粉スギや少花粉スギを穂木又は苗木の形で、各都道府県等へ配布しています。

各都道府県等は、配布された原種を使って、採種園、採穂園の造成・改良を行い、種子やさし穂を生産しています。

さらに、苗木生産事業者がこれらの種子やさし穂から植林用の苗木を生産し、森林所有者等により植林されます。

この結果、苗木の生産量が近年、急増しています。

林野庁によると、2016年度の花粉症対策杉(対策杉)の生産量は、前年度比25%増の533万本に達し、同年度の杉苗木に占める割合は25%に上っています。

苗木の元になる、枝先や種子を供給する成木が増えたことで、苗木の増産ペースが加速しているようです。

しかし、植林面積に換算すると、国内の杉の人工林面積の0・1%に満たず、取り組みの一層の推進が求められています。

東京都の対策

2005年、当時都知事だった石原慎太郎氏の呼びかけ東京都で杉花粉対策が始まりました。

石原氏は公務で多摩地域を訪問したとき、自ら花粉症を初めて発症し、花粉症撲滅を宣言しました。

ただ、東京都の森林面積は約2万ヘクタール。

単純計算しても、すべてを植え替えるのに300年以上もかかるとのことです。

福祉保健局では花粉症対策のシンポジウム・セミナーを開催して情報提供に努め、医薬品開発の協力をしています。

地方の動きに連動して、国内産木材の利用を促進させる素地も整いつつあります。