鼻うがいの危険性 逆効果になるケースとは?
アレルギー性鼻炎や花粉症体質だと、その症状は鼻づまり・鼻水として出てくることが多いですね。軽度の鼻づまりや鼻水であれば特に気にせず過ごすことはできますが、あまりにも症状が悪化してくると集中力低下や頭痛、また口呼吸になることによってさらに気管支炎を発症するなど様々な弊害が出てきてしまいます。
そういった場合、薬以外で症状を緩和させる対処法が鼻うがい。アレルギー性鼻炎だけでなく副鼻腔炎の症状を悪化させないために鼻うがいを実践する人も多いですね。また、耳鼻科によっては鼻うがいを推奨している病院も多くありますが、危険性はないのでしょうか?
そもそも、鼻うがいは効果があるのか?
鼻うがいの危険性についてお伝えする前に、まずメリットと効果について。そもそも鼻うがいの目的は、鼻粘膜に付着したアレルゲン(花粉やホコリなど)や空気中に浮遊している細菌や有害物質(Pm2.5や黄砂など)を取り除くことが最大の目的です。
例えば花粉症などのアレルギー性鼻炎であれば、鼻粘膜に花粉などが付着している状態を鼻うがいによって洗い流すことで鼻炎症状が悪化するのを防ぐ効果があります。また、副鼻腔炎であれば鼻粘膜に付着している細菌や有害物質を洗い流すことで症状が悪化するのを防ぐという効果があります。
これは確かに事実で、鼻の具合が悪くなるといった症状すべてにおいて鼻粘膜を清潔に保つことは症状が悪化する事を防ぐ効果があるんですね。
実践する場合は、塩分濃度に注意する必要がある
実際に鼻うがいを実践している人の感想として特に多いのが「鼻がツーンと痛む」というもの。これは危険性とまではいかないですが、原因としては塩分濃度が誤っている可能性が非常に高いです。鼻うがいをする時には水と食塩を混ぜて塩分濃度0.9%の食塩水をつくる必要がありますが、この濃度は私たちの体に流れている体液の濃度と同じです。
塩分濃度がこれとズレている場合には、浸透圧の関係でツーンと痛みを伴ってしまうんですね。浸透圧とは、外側と内側の液体濃度の差です。長時間、お風呂に使っていると手がふやける現象が起こりますが、これと同じなんですね。手がふやけてしまうのは、外側(お風呂のお湯)と内側(体)の浸透圧が違うため。外はただの水、内側は血液が流れていますからね。このように、浸透圧が違うと水分が外に出ていこうとしてしまうので、鼻うがいをしたときにツーンと痛みを感じるので塩分濃度にはしっかり注意しましょう。
鼻うがいをするための食塩水を使う時にはしっかりとデジタルの計りで量を計って作ると良いですよ。また、もし分量が不安だったり、その都度つくるのが面倒だという場合には専用の洗浄液を使うという方法もおすすめです。それほど高くない値段でドラッグストアなどで販売されていますので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
水道水を使ってする鼻うがいの危険性
特にやってしまいがちなのが、水道水を使って鼻うがいをするという方法。まず1つ目の危険な要素としては、水道管のサビが残っている可能性が考えられるということです。あなたも経験があるかもしれないですが、家の蛇口をひねったときに赤い水が出てきたという場合。これは、水道管(厳密に言うと給水管と言います)が錆てしまい、この錆が混入したもの。特に築年数が古いマンションや住宅は要注意ですが、このサビが目に見えないほど細かく入っていうケースが考えられます。これはもちろん、鼻の粘膜にとっても悪影響ですし、粘膜自体を傷つけてしまう危険性があります。
また、ご存じのとおり水道水には塩素が使われていますね。この塩素、安全に水を飲むためには細菌などを死滅させる効果があるので助かるものではありますが、鼻うがいということを考えると危険です。塩素自体は水を安全に飲むために入れられている、ということが大前提ではありますが、よく考えてみてください。塩素本来の目的は、水道水にいる細菌を死滅させるための薬品です。これだけでも鼻の粘膜にとって良い影響があるとは考えにくいですね。また、この塩素自体、人の細胞を破壊する酸化作用を持っているということはすでに確認されています。これは粘膜を傷つける危険性もありますので、水道水を鼻うがいに使うのは避けましょう。
鼻うがいをする場合は、危険性を極力避けるためになるべくミネラルウォーターなどを使うようにしてくださいね。
中耳炎になる2つの危険性
まれにですが、鼻うがいをした結果として中耳炎になってしまう人がいます。これには2つ原因があるんですね。まず1つ目ですが、鼻うがいをする時の姿勢です。洗面台やシンクなどで鼻うがいをするので、自然と前かがみになりますね。このようにしっかりと前かがみの姿勢で実践すれば問題ないのですが、直立のまま、また上を向いたりして鼻うがいをすると食塩水が耳の方に流れてしまい、中耳炎になってしまう危険性があります。
もう1つ、副鼻腔炎(蓄膿症)を患っている場合。軽度の蓄膿症であれば全く問題ないですし、鼻粘膜を清潔に保つために鼻うがいは有効です。ただし、重度の蓄膿症で頭痛や頬が痛むなど症状が深刻化している場合。この状態で鼻うがいをしてしまうと、膿で食塩水が流れる方向が変わってしまい、耳の方に流れてしまう危険性が考えられます。もし蓄膿症が重症化していて鼻うがいを実践する場合には、しっかり耳鼻科のお医者さんに相談してから実践するようにしましょう。
逆に鼻の調子が悪くなってしまう危険性にも注意する
花粉症やアレルギー性鼻炎の症状を軽減させるために鼻うがいを実践するわけですが、実は逆効果になってしまう危険性もあります。なぜか?というと、そもそも鼻粘膜はとっても繊細です。強く鼻をかんだり、また血管収縮成分の入っている点鼻薬を使うだけでも鼻血が出ることはありますよね。このようにデリケートな組織となっているので、鼻うがいをあまり多く行ってしまうと粘膜自体を傷つけてしまう危険性があるんですね。
粘膜が傷ついてしまいますと、そこからアレルゲンが侵入したり、傷を修復するために粘膜が腫れて鼻づまりが悪化することがあります。こういった危険性を避けるためにも、鼻うがいは1日に2回(朝と夜の1回ずつ)にとどめておきましょう。また、もし鼻血が出やすかったり、粘膜が傷んでいるような状態の時には実践しないようにしてくださいね。
まとめ
・塩分濃度に注意する
・水道水を使ってはいけない(鼻粘膜に悪影響)
・実践する際には姿勢に注意(前かがみで実践する)
・蓄膿症が重症化している場合には医者に相談をする
・やりすぎは逆効果になるので注意する(1日2回まで)
花粉症やアレルギー性鼻炎、また副鼻腔炎など色々な鼻の症状を抑えるために鼻うがいは有効です。これは粘膜を清潔に保つためなので、症状の悪化を防ぐことは可能です。
ただし、鼻炎自体を治すことはできませんので、あくまでも症状を緩和するための対処法として認識しておきましょう。そして、「それだけ」には頼らないということも必要です。例えばホコリやダニなどのアレルギー性鼻炎の場合、鼻粘膜からハウスダストを除去することは症状緩和にも効果的です。ただし、それ以外にも部屋を小まめに掃除したり、湿度に注意したり。また、自律神経のバランスが崩れることを防ぐために睡眠不足にならないように、また栄養バランスに気をつけた食事もしっかりと意識した生活を送る様にしましょう。
鼻うがいだけで鼻炎が治るわけではありません。数ある対処法の1つとして、歯磨きのように習慣に取り入れると良いですよ。
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